突然ですが、あなたは何歳まで働きたいでしょうか。
「定年まで働ききって、もう仕事はしたくない」とか、「いったん定年を迎えても、何か仕事をしたい」など、働くことについての考えは人によって様々です。
退職は、人生の中でも大きなイベントです。環境変化や収入の減少に不安を覚える人も少なくありません。平均寿命が延びている今、社会とのかかわりやつながりが減ることは心理的にも影響があります。
退職後趣味をもつことは生活に刺激を与える
健康寿命という考え方があります。これは、「ある健康状態で生活できることができることが期待される平均期間」を表します。健康の定義は、日常的な介護を受けない、とか、活発に感じて過ごせる、など、個人の感じ方によりますが、平均寿命が延びている一方で健康寿命は伸び悩んでいるといわれています。生活の質(Quality of Life)を維持するには、やりがいや目的をもって主体的な生活を過ごすことが重要です。
退職をすることで毎日の生活の中で、人とのコミュニケーションや、やりがいを感じ社会と疎外されてしまう方もいます。
「人生100年時代」退職をきっかけに生活を見直してみるのはどうでしょうか。趣味を通し脳と体に刺激を与えることは非常に重要です。
何をすればいいか悩むところですが、今回は体力が落ちても取り組みやすいそおすすめの趣味を紹介していこうと思います。

今回の作者 sskknk028さん
作業療法士で元リハビリテーション科に勤務のsskknk028さん。病院勤務時代に幅広い年代の方を対応。作業療法士として退職後のシニア向け記事を書いて頂きました。
作業療法士がオススメする退職後のオススメの趣味
現在(令和3年1月)、感染症の影響で外出しにくい日々が続いていますので、今回は、自宅で取り組めるものをご紹介します。
1つ目:編み物・刺繍

1つ目におすすめする趣味は、編み物と刺しゅうです。
編み物や刺しゅうというと、女性が細かい作業をしているイメージが強いかもしれませんが、年齢や性別にかかわらず楽しめる趣味のひとつです。
棒針編みやかぎ針編み、ネット編み、クロスステッチ、フランス刺繍やマクラメなど、色々な手法や作品があるので飽きずに楽しめるのが魅力です。
いざ始めようと手芸店やネットを見ると、あまりの種類の多さに何から始めるか迷うのではないでしょうか。はじめから複雑なものに取り組むと途中で挫折しやすいですし、簡単すぎても飽きてしまいます。そこで、その人に合った作業の難易度を選ぶことが重要になってきます。
一般的に、手順が多いものや細かい作品は難易度が上がります。反対に、同じ動作の繰り返しで出来上がるものは始めやすいです。まずは、コースターに取り組んでみるのはどうでしょうか。手ごろなサイズ感で、かつデザインも多くあります。自分の為に作るのも、プレゼントするのも素敵ですね。
2つ目:スクラッチアート

2つ目に紹介するおすすめの趣味は、スクラッチアートです。
販売されているキットを使うこともできますし、自作でも楽しめます。自分で作るには、画用紙などの厚めの紙とクレヨン、スクラッチペンを用意します。
スクラッチペンは、スプーンやフォークなど家にあるものでも代用できます。
自作するには、お好みの色のクレヨンを塗ります。その上から、全体に黒色のクレヨンを塗り重ねます。最後に好きな模様を削り出して、完成です。
最初に塗る色は、何色か重ねるのも、単色を塗るのも自由です。ここの色の選び方で、明るくて鮮やかな印象にも、シンプルで落ち着いた印象にもなります。
クレヨンを使うのはいつぶりでしょうか。童心にかえって作業するのも楽しみのひとつです。刃物を使わなくても作ることができるので、小さなお子さんとも一緒に楽しみやすい趣味です。
前述の2つの趣味では、作品を作り、使ったり飾ったりすることができます。自分で作ったものにはとくに愛着がわきますし、達成感や満足感が生まれます。ただ、完成させることにこだわる必要はありません。趣味の作業を通して、自分に向き合う時間を大切にすることも、趣味の意義のひとつです。気軽に取り組んでみましょう。
3つ目:ヨガやストレッチ

3つ目におすすめする趣味は、ヨガやストレッチです。
退職後は、仕事をしているときに比べて活動量が少なくなりがちです。また、コロナ禍で外出機会が減ったこともあり、運動不足も気になりますよね。そこで、先述の2つよりも運動量の多いものを挙げてみました。自分のスペースがあればできるので、場所を取らずにその場で手軽さは抜群です。ヨガウェアやストレッチポールなどを使用すれば、モチベーションの維持や効果の向上に役立ちます。
運動することは、筋肉や関節のみならず、認知機能や精神面にも良い影響を与えます。運動したあとに、すっきりした感覚を得た経験はないでしょうか。動作を覚えることは認知機能のトレーニングにもなります。
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病院のリハビリで取り組まれるものが趣味になる
病院でのリハビリでは、リハビリテーションの一環で、ブロックやパズル、毛糸から、時にはノコギリまでを使うことがあります。もちろん、個人に合わせた内容に取り組みますが、一見すると暇つぶしか遊んでいるように見えるからか、本人やその家族から驚かれることもしばしばです。それぞれの作業には意味や目的があり、体の機能の維持や向上だけでなく、やりがいや自己肯定感・自己効力感のためにも大変良い影響を与えます。これは、家で趣味に取り組むことにも同じことがいえます。
ここまで、退職後におすすめの趣味をお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか。
趣味を始めるきっかけのひとつになれたら幸いです。
厳しい日々が続きますが、どうかご自愛くださいませ。