高齢者がパンを誤嚥する原因とおすすめ出来ない理由!シニアの食事を考える

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高齢者が食べ物を喉に詰まらせ死亡してしまうことがあります。

年末年始に餅を詰まらせて亡くなるニュースを聞いたことがある人も多いと思いますが、実は餅だけではなくパンも高齢者には詰まりやすいので気をつけなければいけません

喉に食べ物を詰まらせてしまう原因はいくつかあり、高齢者の場合は「噛む力・飲み込む力の低下」「体の後屈など食べる姿勢の変化」が挙げられます。

どれも重ねると起きることで、「体の変化」と「パン」が合っていなことで喉に詰まらせてしまう可能性が高いです。

高齢者が食べ物を喉に詰まらせてしまう原因

高齢者が喉に食べ物を詰まらせてしまう原因を詳しくみていきましょう。

年を重ねるごとに「食べ物を形状」と「柔らかさ」を調整することはその人の健康寿命を延ばすことに繋がります。

噛む力・飲み込む力の低下

物を噛み、食べ物を飲み込むことが年を重ねると難しくなります。

歯がすり減り、歯ぐきが後退し、口周りの筋肉の低下、入歯などにより噛むこと自体が難しくなっていきます。

また、唾液の分泌量が減り、口の中が渇きやすくなり、喉周辺の筋肉が低下し飲み込む力が低下します。認知機能が低下することで飲み込むことがスムーズにできなくなることも要因の一つとされています。

噛む力の低下原因

歯と歯茎周りの変化歯と歯肉の境目がくさび形にすり減ったり、歯肉が退縮して歯を支える部分が弱くなります。
露出した歯の根にむし歯ができやすくなります。
長年使ってきた歯がすり減り、かみ合わせが弱くなります。
口周りの筋肉低下加齢により口周りの筋肉低下により、噛む力が弱くなっていきます。
噛むことが低下することで唾液の分泌量が減り、飲み込みづらさに繋がります・
入歯入れ歯は、使っているうちに歯の部分がすり減ります。
自分の歯や歯肉の状態が変化し、かみ合わせが合わなくなってきます。
この状態を放置していると、食べ物がかみにくくなり、また、口の中を傷つけたりします

飲み込む力の低下原因

唾液の分泌量の低下唾液の分泌量が減ると、口が渇き、食べ物をとりづらくなります。
口の中が乾くと声を発しづらくなり、舌や筋肉の低下に繋がってしまいます。
喉周辺の筋肉低下喉周辺の筋肉が低下し、飲み込みづらくなってしまうのも原因の一つです。
筋肉が低下し、舌がスムーズに動きづらくなります。
認知機能の低下認知機能や伝達神経が低下することで「ものを口にいれる→飲み込む」ことがスムーズにできなくなります。
正しく認知できないと、舌やあごの筋肉が動きづらくなってしまいます。

これらの症状は60代前後から起き、食べづらさ飲み込みづらさを感じ始めます。

食べ物が食べづらい、飲みづらいという状態が続くと、誤嚥性肺炎という病気を引き起こしてしまいます。

体の後屈など、食べる姿勢の変化

年を重ねると、筋肉が低下することで姿勢が悪くなる人が多いです。

食べる姿勢は食べ物を喉に詰まりやすくする原因になるので、1:背筋を伸ばす、2:顔は正面を向いて、3:足は地面につけて食事をするようにしましょう。

逆に背筋が曲がっていたり、顔が上を向いたり、足が浮いている場合は注意が必要です。

正しい食事をすることで食べ物の誤嚥を防ぐことが出来ます。

高齢者が食べ物を誤嚥しやすくなる原因を見てきました。

では、なぜ高齢者とパンの相性が悪く、誤嚥しやすくなってしまうのでしょうか?

それはパンは水分量が少なく、固く、噛みづらいからです。

高齢者にパンをおすすめ出来ない理由は「誤嚥しやすくなる」から

高齢者は加齢により誤嚥しやすくなり、そしてパンはその誤嚥しやすさと相性が悪いです。

年を重ねた場合、食事の固さと形状をその人に合わせる方がいいでしょう。

パンは水分量が少なく飲み込みづらい

パンとお米を比べると、お米の方が水分量が2倍近く水分を含んでいます。

その為、口の中が乾きやすい高齢者にとっては、パンを食べることは口の水分をさらに奪うことに繋がってしまいます。

若い人でもパンを食べている時に、ボソボソ感で食べづらさを感じたことがある人は多いと思います。

唾液量も低下している高齢者にとって、水分量が少なく飲み込みづらいパンは誤嚥しやすい食べ物であることは違いありません。

固さと形状が高齢者に合っていない

パンにも色々種類がありますが、固さが高齢者の嚥下レベルに合っていないことも詰まりやすい理由の一つです。

飲み込む力が低下している高齢者にとって、ふわふわのパンの固さは高齢者と合っていません。

高齢者にとってパンは誤嚥しやすい食べ物です。

噛みづらい、飲み込みづらいと感じ始めたらパンは避け、水分量が多く固さを調整しやすいお米にシフトした方がいいでしょう。

うどんやそばなども柔らかを調整できるのでオススメです。

食品名100g当たりの水分量
ご飯60g
食パン
(8枚切り2枚)
38g
食パン
(6枚切り)
23.5g
蒸しパン22.8g
フランスパン30g
うどん(ゆで)75g
スパケッティ(ゆで)61g

あなたに合った食事の固さと形状を見つけよう!

食事中にむせることが多くなっていませんか?

そのまま食べ物の固さや形状が合わないと誤嚥し、放置すると誤嚥性肺炎になってしまいます。

65歳以上の死亡理由の第四位は肺炎で、この肺炎の70%は誤嚥性肺炎です。

そして、誤嚥性肺炎は発症後2年以内の死亡率が50%で、進行性のがんにも並ぶ高い死亡率です。

誤嚥を防止するために、あなたに合った食べ物の固さと形状を選ぶ必要があります。

介護食Zが作成した「食事の固さ診断」では簡単な質問に答えるだけで、あなたに合った食べ物の固さと形状が分かります。

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誤嚥するとどうなるのか?誤嚥性肺炎の怖さ

むせることが多くなり、誤嚥してしまうとどうなるのでしょうか。

誤嚥が多くなると肺炎になるケースが多く、高齢者の死亡理由の上位が誤嚥から起きる誤嚥性肺炎という病気です。

誤嚥性肺炎とは?

食べ物や唾液が誤って気管や肺に入ってしまうことで起きる肺炎です。
本来入るべきではない食べ物のカスなどが溜まっていくことで発症します。

飲み込む力が低下することで起こるため、日々の食事の固さや形状に気を遣う必要があります。

65歳以上の誤嚥による死亡者数は年間3500人以上。その内、80歳以上の死亡者数は2500人で70%を占めています。

また、65歳以上84歳以下の日本人の死亡原因の4位は肺炎で、その内の7割以上が誤嚥性肺炎と言われています。
85歳以上になると肺炎での死亡数は2位になり、これもまた誤嚥性肺炎の割合が高くなっています。

知らず知らずのうちに食べ物が気管内に入り込んでいて、気づいたときには肺炎になってしまう怖い病気です。

誤嚥性肺炎にかかると約4割の人が口から食べ物を摂取できなくなります。

そして、2年以内の死亡率は50%と本当に怖い病気なのです。

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誤嚥しないための予防

パンは避け水分量が多く、やわらかい食べ物を

食事中にむせる回数が多くなった人や飲み込みづらさを感じ始めた人はパンを避け、水分量が多く柔らかい食べ物を摂るようにしましょう。

極端に柔らかい食べ物を食べると今度は口と喉周りの筋肉が低下していくので、1食の内に1品は固めの食材を検討しましょう。

噛む回数を増やす

誤嚥しやすいと固い食べ物を避けがちです。

しかし、固い食べ物を避けると今度は噛む力が低下していきます。

食事はよく噛むことを意識すると唾液の分泌や喉の渇きもおさまり、誤嚥しづらくなっていきます。

口腔ケアと歯のケア

口の中が乾燥したり、話すときに舌が引っかかる時は口腔ケアをしましょう。

歯ブラシと歯間ブラシをして口の中を清潔にすることで口の渇きを抑えることが期待できます。

また、歯をメンテナンスすることでかみ合わせが良くなります。

噛む力を鍛える

誤嚥を予防するために噛む力を鍛えましょう。舌を出し様々な方向に動かすだけで口周りの筋肉を使います。

また、食後にガムを食べることで口腔ケアと噛む力を鍛えることが出来るのでオススメです。

誤嚥を予防して人生を楽しもう

パンは誤嚥がしづらい食べ物です。美味しくて手軽なのでついつい食べたくなってしまいますが、むせやすくなった高齢者には非常に危険です。

それでもパンを食べたい場合、小さくちぎり、一口を小さくしてよく噛んで食べるようにしましょう

これだけでも誤嚥しづらくなります。

日々の生活の中で噛む力・飲み込む力を鍛え、美味しい食べ物をいっぱい食べて元気に過ごしていきましょう。

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  • この記事を書いた人

insiru

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