「声は聞こえるけど内容が聞き取れない」
「話の内容が全て聞き取れず、聞き返すことが多くなった」
「複数人での会話になると聞き取りにくくなる」
このような聞こえの悩みはありませんか?そのような場合に考えられる主な原因を2つ紹介するとともに、対策を合わせてご紹介していきます。
「話が聞き取れない」原因として考えられる2つの可能性
(1)「難聴」が原因である場合
1つ目の可能性として考えられるのは、「難聴」です。大きく分けて以下のような4つの種類に分類されています。
■感音難聴
内耳または聴神経に損傷がある場合に起こります。感音難聴があると、音が小さく聞こえるだけでなく、雑音の多い騒がしい環境での会話が理解しにくくなることがあります。加齢による難聴や突発性難聴が原因と言われています。
■高音域難聴
感音難聴の一種で、低音域の音は問題なく聞こえても、小鳥のさえずりのような高音域が聞こえないタイプの難聴です。
■伝音難聴
外耳または中耳の損傷によって音の振動が内耳に伝わらなくなる場合に起こります。このタイプの難聴では、耳が塞がったような感覚があり、話し言葉がこもったように聴こえます。
特に雑音が多い環境での会話で顕著に症状が感じられます。中耳炎や鼓膜穿孔が原因となることがあります。
■混合性難聴
伝音難聴と感音難聴が合わさったタイプの難聴です。この場合は、外耳または中耳と内耳の両方が損傷している可能性があります。
どちらの難聴の度合いが強いかによって改善のアプローチ方法が異なります。
難聴は、それぞれの種類についても、様々な要因が考えられるため、聞こえづらさの原因を知るためには、まずは医療機関での精密な検査が必要といわれています。
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(2)「聴覚情報処理障害:APD」が原因である場合
人の話が聞き取れないと思った時に考えるべき2つ目の原因は「APDの可能性」です。聴覚情報処理障害=APDとは、聴力は正常に働いているが、人混みなど雑音が入り混じっている環境では、必要な声や音を認知できないという症状の障害です。
また特徴としては、耳鼻咽喉科に行き診察を受けても「異常なし」と判断されてしまうことがあります。海外ではAPDの症例が多いのに対し、日本ではまだ症例件数が少ないために、APD治療の認知が進んでおらず、医者の方でさえあまり理解していないといったことが原因として挙げられます。
<APDチェックリスト>
以下の5つの項目は、聴覚情報処理障害=APDであるか自分で可能性を調べることができるチェックリストの一部です。
◻︎会話をしている時に聞き返すことが1日5回以上ある
◻︎後ろから呼び掛けられると気付かないことがある
◻︎集会や会議など数人の会話でうまく聞き取れない
◻︎相手の言ったことを推測で判断することがある
◻︎会話の内容を聞き間違えることが多い
もし3つ以上当てはまった方は、自分が聴覚情報処理障害=APDかもしれないということを念頭に置いて、専門家への相談を検討しましょう。
人の話が聞き取れない場合の対策はどのようなものがあるのか?
難聴やAPDである可能性が高い場合、どのような対策があるのか紹介していきます。
<聴覚情報処理障害(APD)の場合>
聴力に問題がないにも関わらず、話が聞き取れない聴覚情報処理障害(APD)の疑いがある方は、以下の対策が一般的に挙げられます。
- 複数人で会話をするのではなく、一対一で会話する機会を作る
- 一対一で話す機会を作っても静かな場所を選ぶ
- 相手の口を見ながら、話している内容を察知するようにする
- ノイズキャンセリング機能のあるイヤホンを使って、周りの雑音が入らないようにする
- テレビ、ラジオ、音楽など、誰かと話すときにそれらは雑音になるので予め消しておく
- 話し相手の方に、大きな声で、できるだけゆっくりと話してもらうようにお願いする
<難聴の場合>
- テレビの音量を家族に注意される
- 話し声が大きくなってしまう
- 車が近づく音に気づけないことがある
このような症状が見られている場合は、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
難聴の種類によっては早期に治療を行うことが求めれられる症状があります。特に「突発性難聴」と呼ばれる難聴の種類では、早期発見・早期治療が重要です。発症してから約1ヶ月程度経ってしまうと聴力が固定してしまうことがあるからです。
突発性難聴であれば、発症後1週間以内に適切な治療を受ければ約40%の人が完治し、50%の人には何かしらの改善が見られます。発症後(片耳が聞こえないなどの違和感を感じてから)1週間以内に病院へ行き適切な治療を受けることがとても大切です。
また、難聴は40代~60代に多いと言われていますが、10~20代の若者や働き盛りの年代にもストレスや他の病気などが原因で発症することがあります。年齢に関係なく、症状が見られたらすぐに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

まとめ
人の話が聞き取れない場合は、まずは病院へ行きましょう。
また、病院へ行っても「聴力に異常なし」と診断されてしまった場合は、ご自身でAPDの可能性について、担当医に質問してみてください。先ほども軽く触れましたが、日本では聴覚情報処理障害(APD)に対する認知や理解、支援体制が整っていません。つまり病院の医師ですら的確な診断が下せるとは限らないため、診察を受けている私たちからもAPDの可能性はないのか質問することが大切になっていきます。
最後に、APDについては以下のような書籍も出版されていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。